アウトドア市場が盛り上がると地方が活性化する - Outdoor Innovation Summit 2018 で感じたこと-
鳥取が誇るキャンプブログ CAMP HOUSE さんに同行するかたちで『なっぷ』や『CAMP HACK』でお馴染み株式会社スペースキーが主催するアウトドア業界向けカンファレンスを聴講してきました。
アウトドア関連ビジネスや環境保全に関するセッションも多い中、私が注目していたのはデービッド・アトキンソン氏のインバウンド向け観光戦略の視点からみる、アウトドア市場のポテンシャルに関するトーク。
著作『世界一訪れたい日本のつくりかた 新観光立国論実践編』にも自然観光がいかにポテンシャルが高いかを裏付けるデータが記載されていたので、今回もその切り口からどのような提案が出てくるのか楽しみにしていました。
要点をまとめると、
-日本の成長戦略として観光は目に見えて効果が出ている重要施策
-中でも自然観光に力を入れるべき
-アウトドア市場はインバウンド観光客対応することで成長が期待できる
という内容だったと解釈しています。以下メモベースですが要点書き出し。
・人口が激減する日本において消費者がいなくなることが大きな問題
・国内で消費者を増やすため考えられる対策
1.大量に移民を受け入れる
3400万人の移民が必要 将来的な外国人比率を考えると現実的ではない
2.大量に子供を増やす
少子化対策により増加したとしても効果が出るのは15年後
3.観光戦略
国外から訪れる人達の消費を増やす
現実的かつ効果が出始めているのは3
・2018年は3200万人のインバウンド観光客が訪れた
・インバウンド消費は輸出にカウントされる
・世界の観光人口13億3,000万人 成長率7%
・2017年日本の観光収入世界10位 成長率11% 初のトップ10 入り
・多様性がポイント
・京都が人気の理由
文化財、ナイトライフ、食文化、買い物、と多様性がある。歴史文化だけなら奈良のほうが上だが文化遺産見学のみで長期滞在はできない
・自然は日本の重要観光コンテンツ
スキーは世界3位の観光コンテンツ
・自然コンテンツをメインにしている国ほど観光収入多い。文化メインは少ない。アメリカとフランスの比較
・桜はそれほど海外受けしてない
期間が短い、男性は花に興味ない
・紅葉は欧州では一般的で珍しくない
・よって桜・紅葉はインバウンド向けPRとしては弱い
・Destination の作り方
-解説の充実
-座るところ
-飲食するところ
↓
理由は滞在時間を伸ばすため
稼ぐ=滞在時間。長くいるほど人はお金を使う
日帰りより泊まり
・世界の観光コンテンツ
1 海
2 山
文化はその次
・観光戦略で一番大事なのは泊まるところ
・文化は短期滞在 自然は長期滞在
観光収入も自然メインの方が高くなる。フランスは一人あたり観光収入108位 アメリカ6位
◆森林のアウトドア活用
マウンテンバイク
トレイルラン
フォレストアドベンチャー
・トレイルはそこまで景観よくなくても楽しめる
・サバゲー、フォレストアドベンチャー、そこまでの面積なくてもできるのでは
・過疎化による集落運営の維持のために上記イベントを開催する自治体がでてきてる
・高齢化社会において健康維持との親和性も高い
・日本にはこのようなアクティビティができる場所が多くあるはずだが課題がある
-利用が増えると土地が荒らされる
-地権者、自然保護団体、利用者の間で軋轢
環境の整備などのボランティア活動で地域の信頼を得る努力が必要
ざっくりですがこのような内容で、アウトドアは観光コンテンツとして歴史的建造物など文化財観光よりもビジネス収益性が高く、アウトドア業界は積極的にインバウンド対応していくことで更に市場を活性化できるのではないかと思いました。
東京や京都といった大都市がここ5年位で一気に多様性を増したように、例えばキャンプ場などでも、いよいよ多国籍で多様な風景が増えてくるのかと思うと楽しみです。オートキャンプ白書にも外国人キャンパーへの言及があります。
一方多様化していく過渡期において必ず問題となる、新規と既存ユーザー間のマナーやしきたりを巡った軋轢も出てくるでしょう。またキャンプ場の話になりますが、国内キャンパー間でも『ゆるキャン』効果で増加していると思われる新規キャンパーに苦言を呈するツイートが散見されます。
個人的に地方や田舎が活性化するためには観光による交流人口増加は必須だと思いますし、アウトドア観光客と自然が豊富にある田舎の親和性は高くないわけがないです。アウトドア市場の盛り上がりのみならず、地方活性化のきっかけとしても、インバウンド観光客へのアウトドア訴求は大きなポテンシャルがある施策だと感じました。